サポーターとGPSを融合させた認知症対策サポーターを作れないかと日々考えています。
2017.03.30
弊社が製造販売するサポーターというのは、ケガをした時に使用する保護タイプのもの、それからケガを未然に防ぎたいという予防目的のもの、それらは固定するタイプもあれば、保温を目的としたタイプもあります。
総じて言えば、健康というキーワードで語ることが出来る範疇が多いでしょうか。皆さんの想像するサポーターと言われるものは、私が言っているものとほぼ同じだろうと思います。
部活動をしている学生、ジョギングやウォーキングを楽しむ人、それからバスケットボールやゴルフ、サッカーや野球といったスポーツを愛する人、そうしたアクティブな場面で利用されることが多いのです。
「サポーターには全く縁がないわ」とおっしゃる人もあるかもしれませんね。必要と感じた時、必要になった時以外では、活躍する場面がないのがサポーターではあります。
弊社はサポーターを製造販売する中で、身体に密着させて固定するというノウハウを得てきました。関節部位であるとか、筋肉のサポートであるとか、繊維を活用して自由自在に着脱が可能になる製品が作れます。
今、この技術が新しい分野で活かせる時代が来ていると思っています。それはウェアラブル機器を活用した計測装置のような、センサーや機器、電極や端子、配線コードを必要する製品が、サポーター(繊維製品)と一体化して活用されるケースが増えているからです。
単なるTシャツやパンツという訳にはいかず、ある程度の嵩がある機器を繊維に留め置く方法を考案する必要があり、その際サポーターなどに良く見られるマジックテープでの接着や、ベルト方式での据え付けが活かされます。
これらは弊社が想定するサポーターという概念から外れるのですが、弊社の持っている技術の範囲内で対応が可能であり、今後ますます拡大していくウェアラブル分野で実績が残せる可能性を感じます。
スポーツでパフォーマンス向上に役立てるウェアラブル機器が目立っているようですが、私はこうした機器を固定する、もしくは機器を挿入する袋を作る、または機器を身に着けるベルトを製造するという技術を、認知症のGPS装着に活かせないかといつも思っているのです。
2025年には日本では実に700万人が認知症になると言われています。60歳以上の5人に1人の割合になるのですが、驚くべき数字だと思いませんか。もしかしたら自分ではないか、と思って心配している人が結構いらっしゃるのでは・・・。
私もその心配をしているひとりですが、自分だけでなく家族の可能性だってある大きな問題なんです。2050年には世界で1億3200万人が認知症を発症する可能性があると発表されているくらい、日本のみならず世界が関心を持っているのです。
日本は世界に類を見ないスピードで高齢化社会を迎えましたが、認知症対策で世界のお手本になるような施作が出来るかもしれません。
認知症の人が知らぬ間に家や施設を離れ、ひとりで徘徊することで発生する事件事故が度々報道されていますが、家族の見回りや地域の取組みだけで解決できないことも事実なようです。
そういった現実の中で、GPS装置を活用した見張り番のようなシステムを提供する会社も数多くあるようですが、導入費用の問題が大きく立ちはだかるのも、これまた事実のようです。
GPS機能の有効性は確かにあるのですが、月々の負担までして利用する人は少ないのが現実です。これらは政策として何か解決される方向で国が動いてくれたら良いと思うのですが・・・・。
常に24時間、誰かが認知症の家族を見守ることは不可能でしょう。それでは周りの家族は仕事をすることも出来なければ、外出することも叶わない、生活が成り立ちません。
予算という壁はあるでしょうが、このまま認知症問題を放置しておくことなく、早急に安心できる仕組み導入をお願いしたいところです。
認知症も遠い昔からあった話だと思いますが、長寿社会になって絶対的な人数が増えたことで目立つようになったのでしょうが、他人事ではないことだけは確かです。
GPS機能を有した靴や携帯電話などが既に出回っています。そうした製品を活用している中からは、折角のGPSを持ち歩かずに外出してしまう、という声もあります。確かに靴は外出時に必ず履いて出そうなので有効かと思うのですが、違う靴を履いていくといった事例や、携帯を持たずに出かける事例が報告されていて、何とも難しいようです。
弊社が考える対策は、GPS端末をサポーターに内臓して身体に密着させる方法はないだろうか、ということです。
ではどうやって身体に密着させるのか?
これも実は大きな問題だろうと思っています。本人が嫌がるものを無理やり装着させることは難しいという意見が出ることは想像できます。また、本人が自由に外すことが出来てしまうものでは、着けないまま外出することも考えられるのです。
認知症の方は自由に動くことが可能で、身体の自由が効く人もいらっしゃいますから、簡単なようで実は知恵を働かせないといけないのです。
サポーターはGPS端末を挿入することが出来ますし、ベルト形状で身体に密着させることも出来ます。普段から身に着けておくことが出来るのもサポーターの利点であり、みんなで知恵を出せば解決できないことはないとも思えるのです。
今は一部の自治体でGPS端末の利用に際して補助金が出るようですが、国としての対応は一切ありません。社会問題化すれば、この制度はいずれ公的補助の対象になることと思います。
その際、GPS端末がサポーターに同化した格好で普及すれば嬉しい訳ですが、一部にでもそうした製品が使われる時が来れば役に立てるのかなと思っています。