リカバーという名の糸が環境に優しいとして評判になっている!
2018.07.25
このところ、プラスチックごみにまつわるニュースが世界中を駆け巡っています。良く例えに出されるのが、プラスチック製のストローです。プラスチックは劣化していくと、細かく砕かれて微細な形状のゴミに変質します。直径が数ミリのゴミになってしまうとのことです。
何気なく捨ててしまったゴミや、ふとした拍子に風で飛ばされてしまったプラスチックごみは、分解されることなく細かく裁断され、それらは川によって海に流されていくこともあれば、地面の片隅に集められたりするのです。
そうした細かなプラスチックごみを、鳥や魚などの自然生物がエサとして誤飲したり、浮遊しているごみを誤って呑みこんでしまうことで、他の生命に多大な危害を加えていることが昨今判ってきました。
文明の発展とともに豊かな生活を教授できるようになった私たちは、自分たちの都合の良い考えで、長年に渡って自然環境を破壊してきたのだと、ようやく理解してきたのです。
そこで欧米の大手企業を中心に、環境に配慮した政策を次々に発表し、環境に優しい企業だとPRを始めています。何年までにストローの扱い中止だとか、レジ袋を紙製に変えるといった発表もあります。この流れは一過性のものではなく、おそらくは欧米企業を中心として、雪崩をうったような格好で各社ともに取り組むことになると思われます。
さて日本ですが、この種の合意形成には時間を要するのが毎度のことです。まず第一にプラスチック製品の関連団体に対して、忖度が働くかもしれませんね。これではなかなか前に進みません。
でも過去の流れからすると、日本企業は周回遅れで政策を追従することがあります。そこで弊社も環境に優しい素材を見つけたら良いだろうと思い、色々と探ってみました。
するとスペイン企業が開発したリカバーという糸が存在することを知りました。この糸は再生糸に分類をされるのですが、一般的な再生糸とは違うのです。
一般的な再生糸として判り易いのは、回収したペットボトルなどを再利用し、糸に作り替えるといったものです。確かに資源回収したPETを溶かして糸に作り直すので立派な再生糸です。こういったリサイクル糸をどんどん活用して、循環型の社会にしていくことは後世の人々のためでもあります。限りある資源を無駄にしない取組みは日本やドイツなどが先進ですが、近年では中国も資源回収してリサイクル事業に邁進していると聞きます。
ところがこのリカバーという糸が、一般的な再生糸と大きく違う点は、糸の色毎に再生することで、糸を染める必要が全くなく、染色時に使用する水を使わないことが大きな違いです。
例えば、青い色の糸を再生しようとします。この時、青い色の繊維生地ばかりを集めて分解し、細かく裁断された糸をそのまま糸に紡績して作っているのです。これによって糸は再生糸になった時には、既に色が付いており、わざわざ染工所で水を汚すことがないのです。
昨今、国内の染工所も廃業するところが増えてきています。それは何故かと言えば、老朽化した設備を新たに更新しようとしたら、環境に配慮した最新式の設備導入が必須だからです。その資金は莫大で、資金力に乏しい企業は、老朽化した設備が更新できなくなって廃業を余儀なくされています。それほど染色と言う工程が環境に配慮しないといけない仕事だと理解できたでしょうか。
このリカバーという糸を私はまだ目にしたことがありません。購入できるルートを現在模索中です。糸は定番色が9色ほどあると聞いています。TC(ポリエステルと綿の混紡)が主だそうで、サポーターに活用することも可能です。またはTシャツ素材としても活用される素材ですから、今後は日本でもこの名のついた製品が数多く流通することと思います。
繊維製品を作る際はおよそ材料の2割がロスやゴミとして廃棄処分されていると言われます。原反を裁断する際も、全ての生地を活用する訳ではありません。裁断くずが山のように出ることは事実です。糸で編んだり織ったりして生地を生産する際も、キズがあったり汚れていたりして、その部分をロスでカット処分したりして、その後は焼却処分されるケースが多いと思います。貴重な資源が再利用されていない現実がそこにはありますね。
そうした観点からも、リカバーという糸は環境に優しいエコな糸として世界的に注目を集めているのです。欧米はこうした取組みに積極的だと聞きますが、日本の技術力を持ってすれば、こういったエコな取組みは可能だと思うのですが、やっぱりコスト優先が障害になっているかもしれませんね。
間違いなくリサイクルされたリカバー糸を使用するよりも、新たに作った新品の糸のほうが断然安いことは事実ですから。特に日本ではエコとか環境配慮とかの類が浸透しにくい側面がるように感じます。いつも欧米に遅れをとって、急いで真似るのが日本の特徴ではありますので、こういった糸が盛んに使用される日が来ると思います。
弊社も早くこの糸を調達して、製品企画を行いたいと思っています。