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「胡床」という言葉をご存じでしょうか?

名前だけ聞いてもぱっとイメージが浮かばないかもしれませんが、胡床(こしょう)は、日本の伝統文化に根ざした特別な家具です。神社で見かけることが多いと思いますが、二人掛け、三人掛けなど色々なパターンがあります。

その歴史は古いもので平安時代にさかのぼり、主に武士たちが野戦で使った簡易的な椅子として使うこと方広まったそうです。その後、神事や茶道、能楽など、格式の高い場面で使用されるようになり、現在でも日本の文化的行事や祭礼で重要な役割を果たしています。

今回は胡床の生地部分に関するお問い合わせがあったのでご紹介していこうかと思います。

帆布(はんぷ)とは

胡床の座面には帆布(はんぷ)を使われています。別の呼び方で、キャンバス生地などとも呼ばれますが、厚手で丈夫な平織りの布生地で、もともとは船の帆として使われていたことが名前の由来です。高い耐久性を持ちながらも柔軟性があり、重いものを支える用途や長期使用が求められる場面で広く活用されています。現在では、カバンやテント、靴、さらには神具関連の製品にも利用され、山屋産業では剣道の竹刀袋なんかでよく利用しています。

生地の厚さについて

帆布の厚さは「号(ごう)」という単位で表され、1号〜11号までありますが、数字が小さいほど厚く、数字が大きいほど薄い生地となります。

たとえば、4号帆布あたりがテントやアウトドアグッズなどに製品に適している一方で、8号帆布11号帆布は、軽量で扱いやすく、バッグやポーチ、エプロンなどの装飾品や軽い袋物などに使われます。この号数は製品の用途やデザインに合わせて選定されるため、製造工程において重要な要素になってきます。

帆布の魅力

帆布の最大の魅力は、無染色の自然な風合いが白木や金属といった素材と調和する点です。神具や祭礼用品を製作する際、帆布の清らかで素朴な印象が神聖な空間を引き立てることでしょう。また、帆布は通気性や吸湿性にも優れているため、快適な使い心地も実現します。

胡床の生地部分の縫製

厚さ(号)によって座り心地や強度が変わりますので、3パターンの生地で試作しています。実際に触り比べて比べてみると、厚い方がよりしっかりとした風合いになるので、椅子として使う場合は安心感が得やすいと思います。パーツに分かれているわけではなく、一枚の布から作りますので、複雑なものではございませんが、1枚1枚丁寧に山屋の縫製スタッフ達が縫っています。

胡床が大切にしていること

石川県白山市に白山比咩神社があるのですが、「胡床(こしょう)」には背もたれがなく、深く腰掛けるためのものではないという特徴が紹介されています。その記述から、胡床が単なる座具ではなく、人間の姿勢や集中力を高めるための工夫が凝らされていることがわかります。

具体的には、胡床に座る際には少し浅めに腰掛け、猫背にならないように背筋を伸ばすことが求められます。この姿勢を取ることで、相手の話に集中しやすくなり、自然と眠気を防ぐ効果があるといいます。こうした胡床の設計には、人と向き合い、話を聞く際に最適な状態を保つための配慮があると考えられます。

神道における「姿勢」の重要性が、このような具体的な道具を通じて表現されているのは非常に興味深い点だと感じます。

参照:神道講話393号「姿勢を正す」 | 白山比咩神社 | 石川県

アウトドア、神事用などの椅子に使う丈夫な生地の縫製も山屋産業にお任せください

石川県は繊維の一大産地として知られ、地域全体で繊維製品の製造に取り組んでいます。当社、山屋産業にもサポーターや、格闘技、スポーツ用品だけでなく、さまざまな製品のご相談をいただいております。例えば、伝統的な胡床の生地制作や、バス会社からの依頼による座椅子用生地の製作など、幅広い案件に対応してまいりました。

伸縮性のある生地、ゴム紐、編みゴム、織ゴムから、丈夫で伸びない厚手の生地まで、多種多様な素材の取り扱い実績があります。布製品やゴム製品で特注品をお探しの企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。特に神具メーカー様をはじめ、伝統的な製品に携わる機会を心よりお待ちしております。

これからも山屋産業は、伝統を大切にしながらも新たな製品づくりに挑戦し、次世代へつながるものづくりを目指してまいります。という、意気込みです!!!


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