最近弊社に寄せられるお問い合わせに「衝撃吸収のできる素材を入れたい」という相談があります。山屋産業では、スポーツサポーターの製造経験が豊富で、特にバレーボールの膝あて等はよく製造しております。弊社のノウハウを活かし、衝撃吸収のできる製品を作ることに、大きな可能性を感じています。
今回は、衝撃の起こる原理、衝撃を受けてなぜ痛いと感じるのか、痛さを軽減するにはどうすればよいのかを調べてみました。(自分調べ)下記は、ある衝撃吸収材を作るメーカーさんより拝借した理論です。
ある物体が地面に落下した場合、落下した瞬間に大きな力=衝撃力が発生する。衝撃力の大きさは衝撃エネルギー(物体の衝突速度と重さに関係)に比例するほか、衝突面の材料特性にも左右される。衝突面が剛性の高いコンクリートやアスファルトなどの場合、応力の発生時間(作用時間)が短く、最大衝撃力が極めて大きな値となるが、作用時間を長くするような素材を衝突面に使用することで最大衝撃力を低くすることが出来る(図A参照)。このような材料を衝撃吸収材とよび、衝撃吸収材の変形および応力発生状況は下図のようになる(図B参照)。
A→B→C;落下物が衝撃吸収材に衝突し、衝撃吸収材が圧縮変形される工程。衝突(A点)、最大衝撃力(B点)、最大変形(C点) C→D;落下物が最低到達点(最大変形)を過ぎ、衝撃吸収材の反発力で押し戻される工程。衝撃吸収材からバウンドして離れた点(D点)
落下物を衝撃力による破損から守るためには、B点の衝撃力すなわち最大衝撃力を小さくすることが重要となる。落下物の衝撃エネルギーは、B図のWa+Wbに相当する衝撃吸収材の変形エネルギーに変換されることになり、最大衝撃力を低減するためには、変位量を大きくかつ出来るだけWa+Wbが大きくなるような衝撃吸収材を選定することが重要となる。
つまり、図Aでは衝撃吸収材を選ぶときは、「物が落下した瞬間に発生する力=衝撃力」を小さくする作用のある素材を選ぶとよいそうです。例えばコンクリート等の衝撃面が固い物は最大衝撃力が大きいが、この最大衝撃力をできるだけ小さくする必要があるということ。次に図Bでは、図Aの衝撃吸収材に衝撃が発生し変形される工程が示されています。衝撃吸収材が変形する量が多い方が、最大衝撃力を小さくできると書いてあります。
この考え方より、衝撃吸収材には反発力のあるウレタンフォームが衝撃吸収に適していると導きだしました。弊社では低反発~高反発のウレタンフォームを用意しています。用途や衝撃の種類によって使い分けをしたり、硬度の違うフォームを組み合わせて、ご希望の製品を作り上げることが可能です。
ところでファッションの流行りは巡ってくると言われています。近年では80年代や90年代のファッションがまた注目を浴びてきていて、「厚底シューズ」「厚底サンダル」が流行ってきているのも、その流れを汲んでいるそうです。今はファッション性だけでなく、履きやすさや、疲れにくさなどウェルネスにつながる部分も靴を選ぶうえで重要視されてきているなと感じます。スポーツ分野でも、厚底のランニングシューズを履いた選手が、マラソンで金メダルを取ったことで脚光を浴びました。
弊社では、これまでメディカル分野やスポーツサポーターに使用してきた衝撃吸収やクッション性のノウハウを活かし、新たな分野に挑戦していきたいと考えています。特に靴のインソールなど、疲れにくさや健康増進の視点で、世の中のニーズに合うものを作っていきたいと考えています。